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暮らしのコツ

KATHMANDU / NEPAL

カトマンドゥの朝

電力事情から子どもも大人も早寝早起きです。朝は、日の出前にはすでに活動を開始しています。野菜や牛乳を売る商店は6時前からシャッターを上げ、住民も朝食の材料を求めにやってきます。冷蔵庫を持たない家庭も多いので、その日食べるものはその都度買いに行く人が多いようです。朝早くから圧力鍋の錘の揺れるシュッシュという音が聞こえ始めます。
スポーツクラブ(サッカー、テコンドー、太極拳、ヨガなど)は朝の活動が盛んですし、大学の授業も朝6時から始まります。カトマンドゥの子どもたちは宿題がたくさんあったり、テレビやゲームをしたりして、夜更かしの傾向が出始めているようです。

ネパールで朝、健康に良いとされている習慣とは。

ヒンドゥー教徒が多く暮らすネパールでは、朝に沐浴を行ない、家やその周辺を箒で掃き、打ち水をして清めます。玄関先や神棚の神様にお香やお供え物を捧げ、鐘や法螺貝を鳴らし祈ります。特別な祝日や願い事がある時には寺院へ参拝します。
出勤登校前に、家長や目上の家族から、祝福の印ティカを額につけてもらったり、花びらを頭にふりかけてもらって出かけます。また、歯磨きと同時に舌磨きも健康の秘訣とのことで、舌クリーナーが売られています。

「朝、仏教徒のお宅を尼僧が托鉢に回っているところ。」「世界遺産にも指定されているダルバールスクエアの骨董市。たくさんの品物が並べられます。」

朝日や太陽の光には、
どんな意味があると考えられているのでしょう。

朝の光は、特別な活力を与えてくれるエネルギーに満ちています。これは電灯も同じと考え、電気のスイッチをオンし灯りが灯ると、感謝の意を込めて、頭を下げる習慣があります。一方、日蝕や月蝕を見ることは、生命エネルギーを乱し、占星術上も良くないこととされていて、その間、飲食などを制限し、カーテンを閉めて家の中で過ごします。学校や会社をお休みにするところもあります。
生後すぐの赤ちゃんや産後の産褥婦は、毎日のように日光の下でオイルマッサージをします。伝統的に伝わるマッサージは、骨を強化し発育を促し皮膚を丈夫にします。血流がよくなり産後の肥立ちも早くなります。子どもも大人も頭皮や髪の毛にオイルをつけて整えます。

入浴も太陽の恵み?

バスルームのある家庭では多くが太陽熱を利用したソーラー温水設備を供えています。
水道が未整備なところもあり、水が貴重なため、毎日入浴はしません。週に一日か二日が一般的で、休日となる土曜日の朝の公共水場や井戸に人々が集まり、水汲み、水浴び、洗濯をしています。お湯ではなく、水!これは真冬でも。

*カトマンドゥの冬の最低気温は東京とほぼ同じです。

ネパール民主連邦共和国

人口

26,620,809人(2011年国勢調査結果)

面積

147,181㎢

宗教

ヒンドゥー教、仏教、イスラム教など

時間帯

NPT=UTC+5:45(日本との時差は−3:15)

ヒマラヤ南麓に位置し、ヒマラヤ山脈からタライ平原まで豊かな自然環境と多様な生態系を保有する。主な産業は農業と観光。首都カトマンドゥ市は「カンティプール」=「栄光の都」という別名を持つ。多民族のさまざまな文化が共存し、四季折々、伝統的な祭や宗教行事が現在も形を変えることなく続いている一方、急速な近代化の波が押し寄せ、都市化が進み、人々の暮らしも変化しつつある。あらゆる面で都市部と農村部の格差が著しい。

プロフィール

うえのともこ●岡山県倉敷市生まれ。1999年にふと思い立ってチベットへ旅に出た途中、ネパールに数カ月滞在。2000年、トリブバン大学ビシュバーサキャンパス ネパール語学科に留学。現地で旅行会社の設立と経営に携わる。2002年に一時帰国して子育てに専念。2005年に再び家族でネパールへ。現在、カトマンドゥ在住。マガジンALC、ソトコト、JAちゃぐりん、Japan Times Jr.、日経BP社「エコマム」などに寄稿。http://shantiweb.com/

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