1月~3月は賃貸市場にとって繁忙期です。家賃はこのところ上昇していますが、それでも競争力のない物件は淘汰されてしまいます。この時期、空室を出さないためにも、設備投資で競争力をアップさせることが必要です。設備ランキングのご紹介とあわせて、ランキングの中から注目の設備をピックアップして解説します。
全国賃貸住宅新聞が毎年調査している「入居者に人気の設備ランキング2024」から、まずは必須設備ランキングを見てみます。
これらの設備は新築物件であればほぼ完備しているものです。これらの設備がないと、部屋探しの検索条件ではじかれてしまう可能性が高く、選択対象にも入らないということになってしまいます。いくつか気になる設備を解説します。
これは定番の設備サービスになりつつあります。特に若い世代はテレビの代わりにスマートフォンでテレビ番組を見る傾向にあり、動画配信サービスも普及しています。単にインターネットが無料というだけではなく、「高速インターネット(1Gbps以上)」、Wi-Fiも必須設備になります。
ネットショッピングの普及とともに定番設備になっているのが「宅配ボックス」です。宅配サービスも「置き配」などで対応していますが、セキュリティーの面で「宅配ボックス」のニーズが高まっています。同調査の2024年に入ってから顧客ニーズが大幅に増えた設備ランキングのベスト3は「インターネット無料」「高速インターネット(1Gbps以上)」「宅配ボックス」でした。
築年数が古く、3点ユニットの物件にとっては、最も対応が難しいのが「独立洗面台」です。ランキングで注意すべきは単身者向けでも6位に入っていることです。特に女性にはニーズの高い設備ですが、最近では20代~30代の男性のニーズも高まっているといいます。3点ユニットから洗面台を独立させるリフォームも、工夫次第で可能な場合があります。検討してみてはいかがでしょうか。
必須設備がないと、部屋選びの際にネットの検索条件に入らず、選択対象からも漏れてしまう。
次に家賃UPが見込める設備ランキングです。必須設備と同じ設備もありますが、注目すべき設備を解説します。
単身者向けでは10年連続、ファミリー向けでは9年連続1位なのが「インターネット無料」でした。「宅配ボックス」は単身者向けで4位から2位、ファミリー向けは5位から4位にランクアップしています。ファミリー向けでも共働きが多く、ニーズが高いといいます。この二つの設備は必須設備であるとともに家賃アップが期待できる設備です。
今回初めてランクインしたのが「ペット用設備」です。ファミリー向けで7位、単身者向けでも6位になりました。賃貸住宅でもハード面、ソフト面が進化している影響もあるでしょう。ペット用設備とは、どのようなものなのか、次の章で具体的に解説します。
単身者向けで14位から8位にランクアップしたのが「ガレージ」です。ファミリー向けでも8位です。クルマやオートバイが趣味の人には一定のニーズがあるようです。ガレージでなくても、もっと汎用性の高い設備を備えることで、趣味のライフスタイルを充実させるニーズに応えることができます。一つの例が「土間」です。具体的には後半の章で解説します。
必須でもある「インターネット無料」「宅配ボックス」に加え、「ペット用設備」等の設備が付加価値を生み家賃アップにつながる。
今回初めてランクインした「ペット用設備」。ヘーベルメゾンの「ペット用設備」には次のようなものがあります。
まずは共用部ですが、散歩帰りにすぐ足を洗える「足洗い場」、入居者の交流を生む「コミュニティコーナー」、スペースがあれば敷地内に「ドッグラン」。
専用部には、外出時や帰宅時に便利な「お出かけフック」、ペットが落ち着ける「ペットスペース」、張り替える範囲が少なくなる「壁クロス見切り」、ペットの臭いを脱臭する「イオン発生機」など、充実しています。
ここで、注意したいのが「ペット可」と「ペット共生型」の違いです。
これまで、ペット不可だった物件を単に設備だけを入れて「ペット可」にすると、他の入居者とのトラブルに発展する可能性があるので、お勧めできません。
入居者が求めているのは、全世帯がペット好きで、ペットと暮らしたい人が集まることを前提としたペット共生型賃貸住宅です。入居者同士、ペットを通じて顔見知りになり、ゆるやかなコミュニティも形成されています。入居者のライフスタイルもペット中心になります。駅から遠い立地でも、近くに公園があるなど周辺環境がペットとの暮らしに適していれば、十分にニーズがあり、高い家賃設定も可能なことも特長の一つです。
「ペット共生型賃貸住宅+わん+にゃん」についてはコチラ。
ペット用設備のニーズが高いが、入居者は設備だけでなく、ペットと暮らすことを前提としたペット共生型賃貸住宅を求めている。
設備ランキングには、「ガレージ」がランクインしています。ガレージというとクルマ・バイク愛好者に限定された仕様ですが、他にもさまざまな趣味に対応できる点に注目が集まっています。
入居者が困っていることの一つが「収納や趣味を楽しめるスペースが少ない」ことです(旭化成ホームズ(株)くらしノベーション研究所(現LONGLIFE総合研究所)調べ)。具体的には「ガーデニングをする空間がない」「ベビーカーなどの大きい物の置き場がない」などです。
一方、賃貸住宅の1階は2階と比べて家賃が低く、決まりにくい傾向があります。
そこで、ガレージほどの大きさがなくても、1階を「土間のある賃貸住宅」にすることでこれらのニーズを満たすことができます。土間の配置もいくつかのパターンが考えられ、付加価値を生むことができます。
「土間のある賃貸住宅」はコチラ。
入居者ニーズの一つが、「収納や趣味を楽しめるスペース」の確保。「土間のある賃貸住宅」でニーズを満たし差別化を図ることが可能。