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三大都市圏で地価上昇傾向が鮮明に「平成25年基準地価」

市場動向

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2013年10月 1日

三大都市圏で地価上昇傾向が鮮明に「平成25年基準地価」

今年の7月1日時点の地価である基準地価が発表されました。1月1日時点の公示地価でも一部の都市部で上昇傾向が見られましたが、今回の基準地価ではその傾向がさらに鮮明になりました。今年の7月頃は、アベノミクスによる景気回復の正念場とも言われていた頃です。公示地価では、まだアベノミクスの影響を受けていない時期でしたが、再開発の進んだ大阪など一部の都市で地価は大きく上昇しました。それから半年後、地価はどのように推移したのかを見ていきたいと思います。

三大都市圏は5年ぶりに上昇

国土交通省が発表した、平成25年7月1日時点の基準地価は三大都市圏(全用途)で0.1%上昇しました。これは、リーマン・ショック以来、5年ぶりの上昇です。

基準地価は、公示地価、路線価とならび発表される地価の指標の一つです。公示地価が毎年1月1日時点の土地価格を国土交通省が調査したものに対し、基準地価は毎年7月1日時点の土地価格を都道府県が調査したものになります。
今年初めの公示地価でも都市圏に限っては上昇に転じた地点が増え、全体では下落したものの地価底入れの兆しが見えていました。公示地価は1月1日時点ですので、まだアベノミクスの影響は反映されていません。基準地価はそれから半年、景気回復期待は徐々に膨らみ、不動産市場へ資金が流入し、分譲マンション契約率増加、オフィス空室率低下、といった状況での調査です。

上昇をけん引したのは、商業地で三大都市圏の全てで上昇しています。また、今回の特徴は、地価上昇の傾向が住宅地にも広がったことです。三大都市圏で昨年は0.9%の下落でしたが、0.8ポイント改善し、0.1%下落と、ほぼ横ばいの結果となりました。特に名古屋では0.7%の上昇となっています。

■基準地価の変動率 (単位:%、カッコ内は前年)

 

住宅地

商業地

全用途

 三大都市圏

▲0.1(▲0.9)

0.6(▲0.8)

0.1(▲1.0)

  東京圏

▲0.1(▲1.0)

0.6(▲0.9)

0.1(▲1.0)

  大阪圏

▲0.4(▲1.0)

0.4(▲1.0)

▲0.3(▲1.1)

  名古屋圏

0.7(▲0.2)

0.7(▲0.5)

0.7(▲0.3)

 地方圏

▲2.5(▲3.2)

▲3.1(▲4.1)

▲2.6(▲3.4)

 全国

▲1.8(▲2.5)

▲2.1(▲3.1)

▲1.9(▲2.7)

東京圏の動向ー東京都では全てのエリアで上昇

東京圏は、上昇地点の割合が大幅に上昇し、地価は上昇局面に入ったとも見てとれます。

特に東京都では区部都心部、区部南西部、区部北東部、そして多摩地域のそれぞれのエリア平均で住宅地、商業地ともに上昇しました。
神奈川県では、横浜市、川崎市が住宅地、商業地ともに上昇しています。
埼玉県、千葉県、茨城県では、さいたま市の住宅地、商業地で上昇、その他は下落率は改善しているものの、まだ下落が続いています。

住宅地の上昇率トップは木更津市が11.6%上昇。東京アクアラインの高速バスを使えば東京まで40分で、バスの本数も年々増え、昨年大規模な商業施設ができたことも要因とされています。
東京では北品川。大崎駅に近く、職住近接型の大規模開発が1990年代から今もなお続いています。
その他、スカイツリー効果の影響のある浅草駅周辺、大学キャンパスの開設が相次いだ中野駅周辺での上昇が顕著でした。
神奈川では、地下鉄の乗り入れで集客力が高まった中華街が12.0%、再開発が続き、駅と直結したショッピングセンターが開業した武蔵小杉が13.4%と大きく上昇しました。

■東京圏(東京都・神奈川県)の地域別変動率 (単位:%、カッコ内は前年)

 

住宅地

商業地

 東京都

0.5(▲0.5)

0.8(▲0.7)

  東京都区部

0.5(▲0.5)

0.8(▲0.8)

   区部都心部

1.4(▲0.5)

1.2(▲1.2)

   区部南西部

0.5(▲0.4)

0.6(▲0.6)

   区部北東部

0.2(▲0.5)

0.5(▲0.2)

  多摩地域

0.5(▲0.6)

0.5(▲0.6)

 神奈川県

0.1(▲0.6)

1.0(▲0.4)

  横浜市

1.1(▲0.4)

1.8(▲0.1)

  川崎市

1.4(0.5)

2.9(0.7)

  相模原市

0.1(▲0.7)

▲0.2(▲0.9)

  その他

▲0.9(▲1.2)

▲0.7(▲1.4)

 

■住宅地変動率上位ー東京圏(単位:%)

順位

所在地

変動率

1

千葉県木更津市牛込字宮塚1011番     

11.6

2

東京都品川区北品川五丁目628番2外     

6.3

3

神奈川県川崎市中原区小杉御殿町2丁目144番1     

6.1

4

東京都港区六本木五丁目367番1     

5.8

5

神奈川県川崎市高津区諏訪1丁目391番4     

5.6

■商業地変動率上位ー東京圏(単位:%)

順位

所在地

変動率

1

神奈川県川崎市中原区新丸子東2丁目907番14     

13.4

2

神奈川県横浜市中区山下町154番6外     

12.0

3

神奈川県川崎市中原区今井南町579番7     

7.8

4

神奈川県川崎市中原区新丸子東1丁目788番5     

7.0

5

神奈川県横浜市西区南幸1丁目12番4     

6.8

名古屋圏の動向ー三大都市圏で唯一、住宅地も上昇

景気回復のバロメーターとも言われる名古屋圏ですが、三大都市圏の中では唯一、住宅地が0.7%のプラスに転じました。住宅地、商業地ともに平均値で言えば、東京圏、大阪圏よりも上昇傾向が大きく見られます。
大きな要因の一つはトヨタの業績が顕著なことです。自動車関連産業が集まる西三河地域を中心に住宅地で261地点が上昇(前年86地点)、商業地域も117地点が上昇(前年28地点)と、大幅に上昇地点が増えています。

また、名古屋駅周辺では大規模開発が続いていて、その周辺の桜通沿い、栄駅、金山駅にまで影響が及び、商業地域は5%台の上昇となっています。オフィスの空室率も低水準で推移し、西三河の商業地は2年連続のプラスとなっています。

■住宅地変動率上位ー名古屋圏(単位:%)

順位

所在地

変動率

1

愛知県名古屋市昭和区南山町23番12外     

7.5

2

愛知県名古屋市千種区菊坂町2丁目44番     

7.3

3

愛知県名古屋市千種区月見坂町1丁目26番2外     

6.7

4

愛知県名古屋市東区橦木町3丁目4番     

6.4

5

愛知県刈谷市若松町4丁目12番     

6.3

■商業地変動率上位ー名古屋圏(単位:%)

順位

所在地

変動率

1

愛知県名古屋市中区錦1丁目206番     

5.9

2

愛知県名古屋市中区金山4丁目615番     

5.7

3

愛知県名古屋市中区栄5丁目1611番     

5.3

4

愛知県名古屋市中村区名駅4丁目602番外     

5.3

5

愛知県名古屋市中村区名駅4丁目601番     

5.0

大阪圏の動向ー大阪駅再開発がけん引、商業地は変動率全国1位

公示地価では「うめきた」「あべの」エリアが突出して大きな上昇を見せましたが、その傾向は周辺にも広がって、大阪圏の商業地は5年ぶりに0.4%上昇しました。大阪府の商業地は1.1%の上昇で都道府県別で最大の上昇率です。
また、大阪駅周辺は開発が続いていて、今後も上昇の余地があります。国土交通省の報告では、「大阪市の中心部ではオフィス取引にやや回復が見られ、賃貸市場も底打ち感が見られる」としています。

住宅地では、兵庫県の阪神間の上昇が顕著でした。また、京都も観光産業の復活から商業地は0.8%上昇、住宅地も利便性の良いエリアはマンション需要が増えています。

■住宅地変動率上位ー大阪圏(単位:%)

順位

所在地

変動率

1

京都府京都市上京区室町通上立売上る室町頭町256番     

4.0

2

兵庫県芦屋市大原町75番2     

3.8

3

京都府京都市伏見区桃山毛利長門東町34番56     

3.5

4

奈良県奈良市学園北1丁目3096番28     

3.3

5

兵庫県神戸市東灘区岡本2丁目18番1     

3.3

■商業地変動率上位ー大阪圏(単位:%)

順位

所在地

変動率

1

大阪府大阪市北区中之島5丁目2番1     

10.6

2

大阪府大阪市北区西天満6丁目69番外     

10.1

3

大阪府大阪市福島区福島3丁目96番     

9.8

4

大阪府大阪市北区同心2丁目63番1     

9.8

5

大阪府吹田市江坂町1丁目23番18     

9.2

今後は、景気回復とともにさらなる上昇か?

今の不動産市場を活気づけているのは株式市場や海外の投資マネーですが、今回の基準地価の上昇傾向については慎重論もあり、経済評論家からも「バブルの兆しか経済成長か」見極めは困難だという声もあがっています。

しかし、リーマン・ショック、そして東日本大震災の影響を乗り越えようと、不動産市場に活気が戻ってきているのは事実です。アベノミクスによる景気回復、そして2020年東京オリンピック・パラリンピック開催と期待は高まり、不動産市場は新たな局面を迎えています。

今後も、国の政策や米国、新興国などの情勢などで景気は大きく左右されるでしょうが、日本の経済成長とともに不動産市場の回復に期待したいものです。地価の動向は、さまざまな指標に注意して見ていく必要がありそうです。

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